ひかりとかぜのとおりみち

二つの距離

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大雪の前、書店でふと手に取った「川端康成随筆集」に興味を惹かれ、衝動的に購入、読み始める(いや、本を買うときはいつだって衝動的だ)。
去年の年末に岩波文庫から出た新刊なのだけれど、今頃になって川端康成の随筆集を新たに出版するというのは、一体どういう理由からなのだろう。静かなブームなのだろうか。少なくとも僕自身に関しては、最近はずっと、この時代の人々の文章を読むのが楽しい。遠いけれど、近くに見える。あるいは、近いけれど、遠くに見える。その距離感が心地良い。志賀直哉のことは、この前書いた。ほかには、岸田劉生の著作集であったり、柳田国男であったり。
「川端康成随筆集」を開き、巻頭の「末期の眼」を読み、続いて「ほろびぬ美」を読む。前者は昭和8年に書かれ、後者は昭和44年に書かれている。その二つの作品の、文章のトーンがまったく変わらない。昨日書いて、次を今日書いた、と言われれば、そのまま信じてしまいそうだ。敢えてこの二つを並べて見せた編集の妙味もあるだろうけれど、それ以上に、この作者の内なる感覚が恐ろしい。
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by on-dori | 2014-02-20 22:57 | DP2 Merrill