ひかりとかぜのとおりみち

「春」について

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現在、カロス・ギャラリー(仙台市)で開催中の公募企画展"Sha-gaku vol.6"
僕は「春」というタイトルの2枚組作品を出展しています。
今日はそのことについて書きたいと思います。

【制作の背景】
その名のとおり、春の瑞々しい息吹の表現を目指しています。
今年の4月に撮影したばかり。撮れたてをすぐさま料理し、プリントして、5月前半にはギャラリーに搬入していました(何と気の早い・・・)。
じっくり時間を掛けた作品作りが必要なときもあれば、鮮度と勢いが大事なこともあります。今回は、何と言おうと後者でした。素早い立ち回りは、写真というメディアのもっとも得意とするところでもあります。
プリント用紙には和紙を用いています。流れる雲のような模様が漉き込まれている用紙で、その文様と、モチーフとした樹々の枝ぶりが良好なマッチングを見せていると思います。
色合いは奇を衒わず、白木蓮の写真は薄いブルー寄りに、枝垂れ桜は薄桃色に仕上げました。全体に装飾性を重視した作品です。

【テクニカルな話】
カメラはいつもの「シグマDP2 Merrill」です。複雑に入り組んだ線も迷わず見事に描き分けてくれます。
ただ、副作用もあって、こうした被写体の場合、色収差(エッジ部分に出るグリーンやパープルの縁取り)が目立ちます。試しに、それらを9割方除去したバージョンも作ってプリントしてみたのですが、あら不思議、データとしては綺麗になったはずなのに、痩せ細った印象の、つまらない写真になってしまいました。ですので、収差を残したままプリントしています。ここいら辺に「写真の秘密」みたいなものが潜んでいそうですね。
用紙の銘柄は「ミュゼオピクトリコWASHI雲流(厚)」です。面白いペーパーで気に入っているのですが、残念ながら生産中止になってしまいました。

【ステートメント】
作者の制作意図を言葉で説明したのが「ステートメント」です。今回は「敢えて」やや詩的な言葉でまとめています。ステートメントとしては邪道の部類なのですが、ときには破調が似つかわしい場合もあり、かな。
こんな感じです。




他界した父が、亡くなる一年前の春、しきりに桜を見たがったことを思い出します。

春は僕に、「めぐる命」を(そして、自分自身も無数の命の戯れに混じって泳ぐ銀色の一尾で
あることを)あらためて思い起こさせてくれます。それも、年を追うごとに、強く。

枯葉色の景色を突き破り顔を覗かせる生命力の横溢は、どこか不安定で、ぐらぐらと、
まるで蜃気楼のように僕の目には映ります。

ぐらぐらと、ときに青白く、あるいは薄桃色に、パフュウムの炎を立ち上げながら。



お近くの方、あるいは、仙台にお越しの際は、ぜひギャラリーにお立ち寄りください。
http://kalos-gallery.com/exhibition/sha_gaku_vol6.html

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by on-dori | 2013-06-24 20:12 | DP2 Merrill