ひかりとかぜのとおりみち

昨日見た写真展

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昨日は仙台に行って、3つの写真展を見てきました。
それぞれ個性的な内容、会場で、とても楽しむことができました。

福島隆嗣写真展「3月11日の雪」
ギャラリー チフリグリ
福島さんとはカロスギャラリーを通じたお付き合いで(現在開催中の企画展でもご一緒していて)、これまでも作品を拝見しているのですが、今回の個展は福島さんの過去の作品と比べて「異彩を放つ」と言ってよいもののように思います(あるいは、表現の手法こそ違え、常に社会性の写真への反映を重視している「福島さんらしい」作品と言えるかもしれません)。
「3.11」の日、現地にいた方は、大地震のあと天候が急変して雪が降り始めたことを覚えていると思います。慌ただしく緊迫した時間の中、福島さんはその光景を持っていたカメラで切り取りました。フィルムで4枚だけ。
それから1年半が経ち、暗い空から雪が舞い落ちてくる(ほかには何も写っていない)写真を、「真っ白」や「真っ黒」「灰色」といったさまざまな表情にプリントして、ギャラリーの壁面に並べました。
大変美しい展示で、かつ、見る人にそのときの記憶を思い起こさせ、何かを語らせる誘導力があります。僕は非常に好みです。今年見た写真展の中でベスト・ワンに挙げたいとも思います。
一見、震災を都合のよい題材として使った(よくある)現代アート作品のように思えるかもしれませんが、決して頭で一から考えたテーマではなく、震災当日に作者が感じた感覚的・精神的な衝撃が基になって作品に結晶したという点で、まぎれもない「写真」作品です。
会場となったギャラリーも、面白い雰囲気の場所で、見事に異空間が立ち上がっています(不思議なギャラリー名の由来についても、ギャラリストの方に丁寧に説明いただいたのですが、説明すると長くなりそうなので、この場では割愛します)。
*残念ながら、会期が昨日までなのでした・・・。

山田タカスケ + なつみ イラストと写真の展覧会「フォルチュネ島」
ビルドスペース
先ほどのギャラリー チフリグリは仙石線の宮城野原駅下車(楽天イーグルスの本拠地クリネックス球場の近く)、こちらはさらに先へと電車に乗って、塩釜市内です。
何とも魅惑的なタイトルは、16世紀のフランスの詩人ロンサールの詩から取ったとのこと。直訳すると「福島」になります。
パリ在住だった作者ご夫妻が日本に帰国後、東日本大震災を経験し、その後に福島の景色や人々を撮り溜めた作品です。「震災後も福島で出会った人々は笑顔を浮かべ、彼らの風土は以前にも増して美しい」と。そこに、上記の詩人が思い描いた「フォルチュネ島」のイメージを重ね合わせています。
ただ、タイトルやコンセプトの手招きがとても魅力的だった分、写真が普通すぎたかな・・・僕は普段から福島に住んでいて、見慣れている景色なので、そう感じるのかもしれません。幸せや、貴重なものは、存在が身近すぎると気づかないままでいるように・・・。

その後、仙台圏の写真愛好家(特に銀塩写真)の拠点の一つである写真・カメラ店「尚光堂」さんを経由後(実は僕は初めての訪問でした)、いつもお世話になっているカロス・ギャラリーへ。
現在開催中の公募写真展「Sha-gaku vol.5」については、僕自身も出展中ですので、稿をあらためて書きたいと思います。
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by on-dori | 2012-09-30 10:41 | DP2 Merrill